公正証書遺言の作成手順
遺言書
私、遺言者斉藤幸作は、以下の通り遺言する。
1.妻加奈子(1937年6月4日生まれ)に、現在2人で住んでいる住宅並びにその敷地を相続させる。
また、西野銀行定期預金(口座番号3909348番)1000万円と西野銀行幸町支店普通口座 口座番号0235806 斉藤幸作名義の預金全額を相続させる。
2.私の遺産の中に、ユトリロの絵画(モンマルトルの小道)とシャガールのリトグラフ(「妖精の誕生」23/100)があるが、この絵画並びにリトグラフを美術愛好家で古くからの友人である小林信三(東京都板橋区大山3丁目○番○号)氏に遺贈する。
3.現金500万円を秋田緑(東京都世田谷区代田5丁目○番7号)さんに遺贈する。
秋田さんは、体の弱い私たち夫婦を長年に渡って看護して下さった恩人です。
万一、現金が不足した場合でも、他の相続財産をお金に代えて支弁してください。
2013年4月30日
東京都杉並区西高井戸○丁目3番8号
遺言者 斉藤幸作
本遺言者に子はいません、そこで、妻加奈子に住宅とその敷地、また定期預金と普通預金を相続させて、妻の今後の生活を保証しています。
登記事項証明記録に従った家屋番号や地目・地番、住宅の表示登記記録を記載した方が良いのですが、その記録を誤って記載した場合は、かえって混乱の要素になることも考えられるので、斉藤氏のように所有する不動産が、自宅だけであり、特定される場合は、このような遺言の記載で差し支えありません。
また、友人の小林氏にユトリロの絵とシャガールのリトグラフを遺贈しています。
このような美術品は、他に換えようのない物である「特定物」です。
もし、特定物遺贈を
遺言書でしていても、相続時にそのものが存在しない場合は、遺贈の効果の効力はありません。
3.で秋田緑さんに500万円を遺贈しています。
現金の場合は、お金がなくても遺贈したものと推定されます。
ただ法律で言う「推定」は、「看做す」と異なり、反証が認められれば覆り、その遺贈はなかったことになります。