危急時の遺言と遠隔地遺言
遺言書
遺言者椎葉宗雄は、以下の通り遺言する。
1.遺言者椎葉宗雄は、私が所有し、かつ、現在居住している住宅(宮崎県西都市南原町3丁目3番12号)を長女美晴(宮崎県西都市北原町3丁目5番2号、1965年5月4日生まれ)に相続させる。
尚、美晴は仕事上、現在住む住居を利用すると思われるので、私が住んでいるこの住宅は、私の死後、賃貸に出し、その賃料は美晴が取得することとする。
2.長男徹(宮崎県宮崎市南宮崎町4丁目4番3号 1966年10月5日生まれ)に、遺言者椎葉宗雄の上記財産以外の全財産の5分の3を相続させる。
3.本遺言の遺言執行者に、早瀬誠弁護士(サンルート法律事務所代表弁護士、宮崎県宮崎市大宮町3丁目3番5号)を指名する。
早瀬弁護士とは何回も相続の件について私と話し合っているので、私たち家族のこともよく知っています。
早瀬弁護士のアドバイスを素直に聞き入れ、円滑な相続を行ってください。
付言 1.で遺言者である私、宗雄の住む住宅を長女の美晴に相続させたのは、美晴が夫の不倫で離婚し、まだ幼い子を抱えて厳しい生活を強いられているからです。
この旨を徹もよく理解して遺産分割に臨んでください。
2013年5月2日
宮崎県西都市南原町3丁目3番12号
遺言者 椎葉宗雄
遺言がない場合は、相続法に則って法定相続分が各相続人に相続させます。
ただ、相続人の中には、他の相続人より生活に困窮する者がいる場合もあります。
遺言者が、このような相続人に対して相続割合等を厚くしたいと考えるなら、
遺言書を残す必要があります。
本
遺言書では、長女の美晴に自分の死後、現在遺言者が住む住宅を相続させ、その住宅を賃貸に出し、家賃収入を得るように遺言しています。
住宅等の特定物から利益を受ける方法は、特定物を相続させ売却して売却代金を受ける方法と、この遺言のように、誰かに賃貸して賃料を受け取る方法があります。
ただ、特定財産を売却すれば、1度に多額のお金が入り浪費することも考えられるので、遺言者としては、賃用収入を得させる遺言にした方が良いと思います。
また、遺言者の財産がこの住宅の他にあまりなければ、遺留分侵害が考えられるので、遺言執行者とよく相談し、また、各相続人とよく話し合い、現在の状況についてよく理解して貰う事が重要です。
いきなり遺留分等を侵害するバランスを欠いた
遺言書を提示されても、納得がいかず、かえって紛争の原因になる場合もあります。