遺言書の書式や遺産相続

遺言の書式や書き方

特別縁故者への分与

法律で規定した相続人が不存在の場合は、被相続人の相続財産は国庫に帰属することになりますが、この原則を貫くと不都合を生じる場合もあります。
何故なら、法律上の相続人には該当しないけれど、相続人と同様に扱われてもよいほど、被相続人と深い関係があった者も存在することがあるからです。
民法にはこれらの者の利益を守るための規定もあります。
これが特別縁故者と呼ばれる人たちです。 特別縁故者とは、法定相続人には該当しないが、被相続人と生計を同じくしていたり、被相続人の療養介護に努めたりするなど、被相続人と特別の縁故のあった者のことで、内縁の配偶者などがその代表例と言えます。

特別縁故者として被相続人から相続財産を受けうる場合の1つが、被相続人が特別縁故者へ財産を遺贈する遺言を残していた場合です。
遺言が存在すれば、特別縁故者は、相続人の遺留分を侵害しない範囲で財産を承継することができます。
また、被相続人が遺言を残さずに死亡した場合には、法定相続人全員で遺産分割協議が行われますが、この場合、特別縁故者は法定相続人に該当しないので、遺産分割協議に参加できません。
ただ、相続人不存在の場合では、特別縁故者への財産分与という制度が存在し、家庭裁判所が相続財産の管理人を選任し、相続人の捜索のための公告を行い、公告しても相続人が現れないときに相続人不存在が確定します。
自己が条文上規定のある、被相続人と同じ家計を営み、療養看護に努め、また、被相続人と特別な縁故関係で、財産の分与を受けたいと思う者は、公告期間満了後3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して自己が被相続人の特別縁故者とであるとして、財産分与の請求をすることが必要です。
この期間内に請求をしないと、相続財産はそのまま国庫に帰属してしまいます。

特別縁故者と裁判所が認めて、特別縁故者へどの位財産分与を行うかは、家庭裁判所が決定します。
この分与分配の基準は、民法上の規定を基礎に、被相続人と生計を同じくした期間や生活実態、療養看護がどの程度の内容で、被相続人の財産の維持や形成にどの程度寄与したか等の個別具体的な事情を斟酌して決定します。

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