遺贈の無効、取り消し、承認・放棄
遺言書
遺言者小池徹は、以下の通り遺言する。
1.私は、45年前から小池果物店を経営してきました。
開店からしばらくの間は、妻の洋子と2人で毎日営業していましたが、洋子は乳がんを患い50歳という若さで亡くなりました。
妻と2人3脚で店の経営にあたっていたので、妻の死に途方にくれましたが、幸い長女の小池緑(1965年8月3日生まれ)が、当時勤めていた会社を退職して、小池果物店を手伝うようになりました。
現在、小池果物店が順調なのは、緑の貢献があってのことです。
遺言者に資産の半分は、長女のおかげで形成されたものです。
そこで、遺言者は、長女緑に、以下の財産を相続させる。
2.遺言者小池徹の有する財産のうち、以下の財産を長女小池緑に相続させる。
ⅰ)小池果物店の営業・経営に関する一切の財産及び経営資産
ⅱ)小池果物店の店舗兼住宅とその敷地
住所 兵庫県西灘区○○町○町目○号○番 土地・建物表示は、登記事項証明記録を参照のこと。
ⅲ)小池果物店が有する売掛金及び債務
3.小池果物店に関する一切の財産・経営資産を除いた財産については、長女の小池緑に3分の1と次女の三田君代(兵庫県須磨区○○町○番○号、1967年9月5日生まれ)に3分の2を相続させる。
4.遺言執行者にサンルート弁護士事務所代表弁護士早瀬誠弁護士を指定する。
2013年5月17日
兵庫県西灘区○○町○町目○番○号
遺言者 小池徹
遺言者は、妻に早く死に分かれた後、長女の協力で家業の果物店を維持発展させてきました。
長女は、家業の果物店営業のため会社を辞め、また、結婚もしていません。
遺言者は、そんな長女の将来の生活設計と果物店経営の貢献を認め、寄与分を考慮して、本
遺言書を作成しました。
本件では、妻が亡くなっているので、長女と次女の法定相続分は、2分の1ずつですが、長女に遺言者が2分の1の寄与分を認めれば、2分の1+2分の1×長女の寄与分2分の1となり、長女の相続分は、全遺産の4分の3になります。
ただ、寄与分は、遺言者の一存では決定できず、相続人全員による遺産分割協議で認定するか、それが整わない場合は、裁判所に決めて貰う事になります。
本
遺言書では、最初に
遺言書の趣旨を条文中に書いていますが、これを付言事項として残すことも出来ます。
また、本
遺言書では財産の多くが長女に相続されることになるので、次女の理解が得られない場合は、遺留分減殺請求権を行使される可能性もあるので、遺言執行者と相続人で十分な協議を行う必要があります。