遺言の方式
遺言は、民法に定める方式に従って行う必要があります。
遺言は相続時のトラブルを未然に防ぐために大きな効力をもつので、内容に明確でない点があると、いわゆる争族問題が起こりかねません。
このため、民法では遺言の種類に応じてそれぞれの方式を厳格に定めていて、この法定された方式に従わない遺言書は無効になります。
遺言の方式には、大きく分けて、遺言者が通常の生活状態において作成する普通方式と特殊な状況(例えばケガや病気等で死亡に危機に直面している場合や、船舶などが遭難して死亡の危機にあるときといった緊急状況下で口述・筆記)において作成する特別方式の2つの形式が認められています。
更に普通方式の遺言は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの種類があります。
特別方式の遺言は、死亡が危急に迫っている場合(一般の臨終の際や難破した船の中に遺言者がいる場合で、相続開始後に家庭裁判所の検認が必要)や一般社会と隔絶した場所(例えば遺言者が伝染病に罹り隔離されているような場合や船の中に遺言者いる場合で、相続開始後に家庭裁判所の検認不要)に遺言者がいる時に認められる遺言で、通常の生活状況下でなす普通方式による遺言ができない場合に限り認められるものです。
特別方式の遺言は、その特別な事情が去ってから6か月までに、新たに普通方式の遺言でやり直す必要があります。
このように民法で規定している遺言は全部で7種類ある事になり、遺言を残す際はそれぞれの要件や特徴も知っておくと遺言に対する理解が深まります。
また、相続人との関連等の遺言を書いた情況や相続財産の評価価値も常に変動するので、遺言書は頻繁に見直す必要もあります。
また、遺言は、厳格な要式性を保つことで、遺言者本来の意思が改ざんされることを防ぎ、意思を明確に伝えることを可能にしています。
そこで、遺言が無効にならないようにするためには、ある程度相続法についての理解を深め、また、確実に遺言を有効になすには、専門家(弁護士・司法書士・行政書士等)や公証人の力(公正証書遺言を残す)を借りることも必要です。