負担付遺贈
遺言書
遺言者西条道夫は、以下の通り遺言する。
1.遺言者西条道夫の有する全財産を次男の西条浩太(福岡県宗像市○○3丁目4番5号、1962年5月9日生まれ)に相続させる。
2.1.に記載した全財産を相続した時は、その負担として、浩太は、妻の久利子(福岡県宗像市○○3丁目4番5号、1935年2月3日生まれ)の療養看護に努め、生涯に渡り扶養する義務を負う。
また、浩太は、遺言者西条道夫がJA宗像からの借入金債務も相続する。
3.浩太は、長男西条一郎(東京都武蔵野市○○4丁目5番12号、1960年4日7日生まれ)に、以上の相続に対する代償金として1000万円を支払う事。
付言
次男の浩太が家業である果樹園を承継してくれるので安心しています。
一郎は、海外留学までして、現在は日本でも有名な大学の准教授として働いており、経済的にも何ら不安はありません。
そこで、遺言者は、果樹園を今後発展させる意思を持ち、かつ、お母さんの面倒を見てくれる次男に財産の全てを相続させます。
例え、この遺言が遺留分を侵害することになっても、減殺請求しないようにお願する。
2013年5月16日
福岡県宗像市○○町3丁目4番5号
遺言者 西条道夫
本遺言者は、次男と共に果樹園を経営し、後継者である次男に遺言者の全財産を相続させるとしています。
農業を含む事業承継では、相続によって経営資産が分割されれば、効率の良い事業展開が行えなくなるばかりでなく、事業存続の危機に陥る危険もあります。
そこで、事業経営資産は、分割相続させず相続人の1人に集中して相続させるべきです。
もし、事業承継する相続人とその他の相続人の相続割合が著しくバランスを欠く場合は、本件のように、代償金を支払うことも、相続争いを避ける1つの手段です。
また、どうしてこのような
遺言書を残すのかとう、
遺言書作成の意図を付言として付け加えておけば、争いの原因を取り除くことが出来ます。
さらに、本件で次男は父親が経営する果樹園を手伝い、片腕となって働いているので、寄与分も認められるでしょう。
農業を共に行う後継相続人の寄与分は、その期間にもよりますが、最低でも2割程度は認められるようです。