遺言書の書式や遺産相続

遺言の書式や書き方

相続回復請求権

相続回復請求権とは、真正の相続人でない者(表見相続人、例えば、相続欠格者、不相続人から廃除されたもの等)が、相続財産等を占有して、真正相続人の相続財産を侵害している場合に、相続財産を真正相続人の下に回復させる民法上の救済制度です。
相続人は、被相続人が亡くなり相続が開始すると、被相続人が生前有していた権利義務の一切を承継しますが、この時点で必ずしも、被相続人の財産を真の相続人が占有・支配しているとは限りません。
もし真正の相続人が占有・支配していない場合、例えば、表見相続人・不真正相続人等が、自己が相続人であるとして相続財産を支配・占有を行っている時は、真正相続人がその支配・専有している者の占有を排除し、遺言や法律通りの相続権を回復させるための請求制度が相続回復請求権です。
判例による相続回復請求権が及ぶ範囲は、個々の財産(例えば、宝石や家屋等)だけではなく、相続財産を包括する全体に及ぶ権利(相続人たる地位)とされています。
相続回復請求権を行使して相続財産を取り戻す方法には、裁判に訴えるものと、直接相手側に請求する方法があります。
ただ、いったん占有・支配した財産を相手側からの請求で簡単に相続財産を返還する不真正相続人はあまりいないので、一般的な相続財産回復請求は、裁判所に訴える方法によって行います。
また、相続財産回復請求権は、他に共同相続人がいても、自分1人で行使できる権利です。
ただ、不真正相続人が、相続財産を第三者に売却していた場合は、問題が生じます。
相続回復請求権は、このような場合に、相続財産を買い受けた第三者にも行使できるかと言う問題です。
これに関して判例や学説で争いがありますが、最高裁判例では、不真正相続人から相続財産を譲り受けた第三者に対しては、相続財産回復請求権ではなく、所有権に基づく返還請求権を行使すべきとしています。
尚、相続財産回復請求権には、消滅時効が規定されています。
相続回復請求権は、真正の相続人またはその法定代理人が、表見相続人・不真正相続人等が相続権を侵害していることを知ったときから5年で消滅します。
また、これを知らなくても、相続の開始があったときから20年間行使しないと消滅します(時効の中断が無い除斥期間)。

Menu

  • 遺言書実例