自筆証書遺言作成の基本
現在一番多く利用されている遺言の形式は、自筆証書遺言と呼ばれる形式の遺言書です。
自筆証書遺言は、その名の通り、遺言者自身が自筆で遺言書を書き残さなければなりません。
遺言は、被相続人である遺言者の遺産を相続人等に残すためのものだけでなく、遺言者の生前の意思を後世に残すための重要な意思表示の手段です。
例えば、生前絶対服従していた者でも、遺言者の死後はその意に反して行動することはよくあることです。
そこで、遺言者の生前の意思を遺言と言う形で残すことが大切なのです。
公証人と証人の関与のもとで、公正証書遺言を作成する手段もありますが、公正証書遺言とまでは行かないにしても、自筆証書遺言の作成は、被相続人の最後の責任としてその必要性が広く浸透してきています。
遺言書は遺言者の意思を正確に表し、その後の改ざんや偽造を防ぐ為に厳格な要式性を要求しています。
この点、自筆証書遺言も同様で、要件を欠いた自筆証書遺言は無効になる危険性が高くなります。
ただ、自筆証書遺言を作成するにあたり、そんなに神経質になることもありません。
自筆証書遺言を作成するにあたり、注意する点は、1.遺言書の全部を自分で書く、2.日付けを必ず自筆で入れる、3.氏名も自筆で署名する、4.押印をする、の4つです。
使用する紙や筆記用具にも制限はなく、広告チラシの裏に書かれた遺言でも、以上4つの要件さえ具備されていれば、有効な自筆証書遺言として認められます。
ただ、自筆証書遺言は、遺言者の死後に残るものなので、遺言者が自意識過剰になり、普段使用しない表現や凝った言い回しを用いたせいで遺言内容が分かりにくくなることがあります。
遺言者は、自分の意思が素直の伝わるような表現を用いるべきです。
また、遺産は、現金だけではなく、不動産や有価証券生命保険等多くの種別に渡るので、遺言者はそれらの財産をリスト化しなければなりません。
これを行うには必ず書き出して見なければなりません。
とにかく、遺産にもればあると相続人間で争いの原因となることが多いので、遺産の種類が多い方は十分注意して、もれのない財産目録を作成してください。