遺言書の書式や遺産相続

遺言の書式や書き方

自筆証書遺言の知識3

日付の自書要件について。
自筆証書遺言に遺言者は、遺言書作成の日付を自書する必要があります。
何故日付の記載が要求されるかと言うと、遺言者が遺言作成時に遺言能力を有していたか否かを判断するためと、2通以上の遺言書が存在する場合に、有効な遺言書はどの遺言者であるかを決めるためです。
日付は、年月日が特定されれば良いので、記載方法に制限はなく、西暦でも年号でも構いません。
ただ○月吉日」のような特定不可能な記載の場合は無効です。
また、日付けの記載はあるものの、真実の遺言作成日と異なることが判明すれば、原則としてその遺言者は無効になります。
ただ、昭和48年に死亡した遺言者が、日付の年号を 「昭和28年」 と誤って記載した事案につき、「日付記載が誤記であること及び真実の作成日が遺言証書の記載その他から容易に判明する場合には、その誤記は遺言を無効にするものではない」とした判例もあります。
遺言書の本文中に記載された場合の日付は、何処に記載していても有効ですが、日付が本文中に無く、封筒に書かれている場合が問題となった事案がありました。
このように、日付が本文と同一の書面上に記載されていない場合は、封筒と遺言書とが一体性を有するか否かが当該遺言書を有効にするか否かの判断基準になります。
この点、福岡高等裁判所は、「日付は必ずしも遺言書の本文に自書する必要はなく、遺言者が遺言の全文及び氏名を自書し印を押し、これを封筒に入れて、その印章をもって封印し、封筒に日付を自書したような場合は、日付の自書ありと解してよい と判示しました。
自筆証書遺言のメリット・デメリットについて。
自筆証書遺言は、15歳以上の事理弁識能力がある遺言能力のある者なら誰でも作成でき、しかも費用もかからず、更に、作成の事実もその内容も誰にも知られないといったメリットがあります。
ただ、自筆証書遺言は厳格な要式性が要求されているので、要式性の不備で無効とされる遺言も多いのです。
また、遺言の内容の真偽や、遺言者の真の意思が正確に表現」されているか否かも争われる可能性があります。
更に、保管について管理する者がいない場合は、偽造、変造、紛失、滅失の危険が存在します。

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