負担付遺贈
遺言知識の習得の際には、よく負担付遺贈と言う言葉が出てきます。
この負担付遺贈とは、亡くなった遺贈者が遺産を受ける受遺者に対して、相続財産を贈る見返りに、受遺者にある一定の義務(負担)を負って貰う遺贈の事です。
負担付遺贈の場合も、受遺者において遺贈を承認するか放棄するかの選択権があるため、自由に遺贈を放棄することができます。
受遺者が義務を負担したくない時は、放棄でき、放棄した時は、負担の利益を有する者(以下の例では、障害を抱えた子や年取った配偶者等)が、受遺者として遺贈を受けることになります。
例えば、「年をとった被相続人の配偶者の世話(介護責任)を行ってもらう見返りに、被相続人の遺産を受遺者に遺贈する」、また、「住宅ローンが完済していない場合に、その住宅ローン返済と引き換えにその住宅の所有権を与える」更に、「被相続人に障害を抱えた子がいる場合に、その子も面倒を見る条件で、一定の財産を授与する」、といったことが考えられますが、最近では、家族同然だったペットの世話を考慮して、この負担付遺贈が「ペットの相続」としてよく利用されています。
ただ、「受遺者は遺贈の目的の価値を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行しなければならない
と民法には規定されているので、授与される相続財産価値以上を負担する義務はありません。
また、負担付遺贈の負担不履行の場合(受遺者が義務を履行しない)は、他の相続人または遺言で遺言執行人を指定していた場合は、その執行人もまた、 相当の期間を定めて履行の催告を行い、 それでも履行がない場合は、 その負担付遺贈にかかる遺言の取消しを家庭裁判所に対して請求することができます。
尚、負担付遺贈は双務契約なので、このような事態を未然に防ぐため、負担付遺贈となる遺言を作成の際には、遺言者と受遺者が、遺贈の内容やそれに伴う負担の具体的内容について、事前に十分合意しておかなければなりません。