遺言書の書式や遺産相続

遺言の書式や書き方

要式性を欠く遺言

遺言は厳格な要式性が要求されますが、少しばかりの要式性を欠くがゆえに、遺言の全てを無効にして良いものかとの疑問がわきます。
要式性を要求した趣旨は、遺言者の真意を確保することなので、要式性からほど遠い遺言はどうにもならないとしても、この点から遺言の有効性を考えてみる必要があります。
要式性を欠く遺言が全て無効になるとは限りません。
遺言の様式性に関連する最高裁判決や他の裁判例を見ると、どんな場合に要式性を欠いた遺言が有効になるかの理由が述べられているので、これらの判例から要式性を若干書いた遺言でも、有効と認められる範囲を推察できると思います。
要式性とは、つまり法の規定ですが、この規定は一律に決定されているものの、その適用や運用に関して、真意が分かる遺言であれば、割と幅広く解釈し、有効にしようとしています。
また、例え、自分に関連するような遺言の裁判例がない場合でも、多くの裁判例を読んでいくうちに何となく大まかな裁判例の考え方も理解できるようになります。
遺言の要式性に関連する有名な判例に、自筆証書遺言に日付を付けてなかったものがあり、この遺言は、封筒に入れられ封筒はしっかり糊つけされ封印されていました。
そして、この封筒に日付がなされていました、遺言の要式性を厳格に適用すれば、遺言書本文に日付のないものは無効となるはずですが、この事例で、裁判所は、「この封筒と遺言書本体は一体としてみることができ、その封筒に日付があるので、これは遺言書に日付けがあったものとして有効である」との判決を下しました。
上記は簡単な遺言書の要式性に関する判例ですが、先述のように、要式性を若干欠いただけの遺言書が常に無効になるとは限りません。
遺言書の趣旨は、遺言者の最終的真意をその死後において確実に叶えることなので、遺言者の真意確保が明確ならば、多少要式性を欠く遺言書も、有効になるよう裁判所は解釈する方向であると言えます

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