遺言書の書式や遺産相続

遺言の書式や書き方

遺言は何故、厳格な要式性を採るのか

遺言書

遺言者 後藤新吉は、以下の通り遺言する。
1.遺言者後藤新吉が所有し、現在居住するマンション(東京都墨田区本町3丁目5番14号墨田リバーマンション1011号)を長女緑川明子(東京都大田区羽田3丁目6番5号 1956年4月3日生まれ)に相続させる。
2.1.のマンションの他の財産(大阪製糖株式会社株式300株、東京信用金庫預金墨田支店 普通口座 口座番号0340098)については、長女の明子にその3分の1を相続させる。
3.長男卓巳(東京都江東区木場3丁目9番5号 1959年4月30日生まれ)に、1.2.で列挙した明子に相続させる分を除いた財産と、その他、遺言者後藤新吉が有する全財産を相続させる。
4.本遺言の遺言執行者に、長女緑川明子を指定し、祭祀承継者とする。
付言事項 長女の明子は、遺言者の妻妙子の死後私の療養看護に努めてくれたことへの感謝の意をこめて長男卓巳より多くの遺産を相続させることにしました。
卓巳は、遺言者の私が提供した起業資金をうまく使い、現在社員30人を有する株式会社に成長させています。
卓巳に経済的な心配はないと思うので、この 遺言書に従って争いのない相続を行ってください。

2013年5月2日

東京都墨田区本町3丁目5番14号

                     遺言者  後藤新吉     
本遺言は、遺言者の妻妙子亡き後、病弱な遺言者の療養看護に努めた長女への遺産分配の割合を、長男に比べ多くしています。
本 遺言書の場合は、相続対象物である遺言者の居住するマンションについては特定され、かつ、株式や預金についても、その割合は記載されています。
ただ、その他の遺産の具体的な分割は、相続人である長男と長女による遺産分割協議に委ねられることになります。
娘明子の寄与分がどれ位認められるかは、具体的な案件で異なりますが、遺言者の療養看護に多大な貢献があったことを付言で記しておくとよいでしょう。
また、不動産の価値は通常高いので、不動産をある特定の相続人に相続させた場合、遺留分を侵害している場合が多いのです。
そこで、この点についても十分配慮し、家族で遺産分配について十分相談してから 遺言書を作成する必要があります。
遺留分侵害をめぐる相続問題は、遺言者の死後に相続争いを起こさないという 遺言書作成の利点を削ぐことになるので、この点に十分配慮してください。
尚、本 遺言書では遺言執行者に長女の明子を指定していますが、争いが心配されるなら、遺言執行者に相続問題に詳しい、弁護士、司法書士、行政書士といった専門家を起用することも考えられます。

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