相続税課税の趣旨
相続税課税の趣旨・目的は、「富の再分配」と解されています。
相続税は、税という名前が付いていますが、その実態は、広く社会も相続人に加える制度と解する人もいます。
例えば、ある資産家が死亡したとします。この資産家は、生前大変な努力を重ね大きな資産を形成したのですが、その遺産を承継する子供は、何の努力もなく大きな資産を棚ぼた式に取得することが健全な社会と言えるのかといった疑問が生じます。
また、亡くなった被相続人本人も、大変な努力を重ねお金儲けの才能があったとはいえ、その遺産形成は、社会といった大きなインフラが整備されていたおかげとも言えるのです。
そこで、被相続人の遺産を法定相続人等に独占させるのではなく、社会にその何割かを社会に還元させようとするのが、相続税の本質と言えるのです。
相続税は、被相続人または、先祖からの不労所得とも言え財産に対する課税であり、所得税は、自分で稼いだお金に対して課税される税金です。
よく、相続税が課せられ、また相続財産である例えば土地を売却した利益に所得税が課せられるのは、税に二重取りだと泣き言を言う方もいますが、両者の課税趣旨は全く異なっているので、二重課税にはなりません。
先述のように、相続税は、相続財産の社会的還元と言う意味合いを深く有するので、この相続税課税の趣旨が、税法上に深く考慮され、相続税はでき上がっています。そこで規定の条文の趣旨を良く調査し理解することは、日本の富の社会的な還元制度全体を大まかに理解することに繋がります。
また、遺産分割には、その遺産にどの位の相続税が課せられるのか知っていなければ、納得のいく公平な遺産分割になりません。
相続問題の解決する民法の相続法や遺言の理解をなすには、相続税に対する理解が必要不可欠です。
相続に直面して慌てて勉強してもなかなか理解が進むものではないので、相続や遺言に不安を感じている方は、相続税を進んで研究し、理解を深めておくことが、相続に対する不安を払しょくすることに繋がると言えます。