自筆証書遺言作成実務の注意点
遺言を書く際には、遺言の内容が明確に判断できるように書くことが必要です。
意味不明な遺言にならないためには、主語と述語の関連に気をつけ、具体的に遺産が特定で生きるように、例えば不動産であれば、不動産登記証明事項の記載に従い、不動産を特定(地番・家屋番号等)してください。
不動産をはじめ、多くの種類の遺産がある場合には、先ず、相続財産目録を十分時間をかけて作成し、漏れのないようにしなくてはなりません。
また、相続人についても一人一人書き出して、財産目録と照らし合わせて自分の思いが実現出来るような遺言書を書く必要があります。
財産目録や相続人をリストアップすることで、現在の資産や相続人が明確になることはもちろん、こうすれば、自分の頭が整理され、冷静な遺産配分を行う事にも繋がります。
また、この際、相続財産の遺留分や税金についても考慮することが重要です。
以上のような注意点に従って書かれた遺言があれば、遺言者の死後、相続人間等で争いが起こることはあまり考えられません。
ただ、相続人の中には、遺言者を巧みに誘導してある相続人に有利な遺言書を書かせたのではないかとクレームをつける者もいるかもしれないので、遺言書が書かれた内容を証明する者をつけるとか、本人の生前の声等を補強証拠として残しておくことも有効と考えられます。
遺言書に感情の吐露は要りません。
遺言内容を正確に記述することだけで良いのですが、欲を言えば、なぜそのような遺産配分になったのかと言う理由や根拠を記しておくことも将来の争いを避けるために効果があります。
本来の遺言ないように関係しない遺言者の思い等は、遺言の付言と言いますが、例えば、遺言者が、「兄弟仲よく公平に遺産分配を行って欲しい」といったことを付言しておけば、相続人間に争いがあっても、遺産分割協議がうまくいくことも多いのです。
遺言書は1度書けばそれで良いということになりません。
例えば、10年前に書いた遺言書における家屋の当時の評価額が500万円だったのに、現在では200万円ほどにしか査定されないこともあります。
また、土地価格も変化しています。
そこで、遺言書は、頻繁に自分の遺産がどれ位に評価できるのかを見直し、書き換える必要もあります。